2009年5月7日木曜日

追悼 忌野清志郎

清志郎がいなければ今の仕事をしていなかったのかもしれない。
私もそういうたくさんの人のうちの一人である。
ディレクターとして彼と一緒にレコードを作ったこともあるし、
依頼されてファンクラブの会報に彼についての論考を書いたこともある。
また江戸屋としてもCharと清志郎の縁深い繋がりがあったので、
遠からぬ関係にあったんだと思う。時にCharから清志郎の話を、
清志郎からCharの話を聞くのは、私の秘かな楽しみだった。

しかしながら、私が十代でまだ何者でもなかったころ、
九州の西端の片田舎にまで届いた衝撃は凄かった。
その頃の清志郎はRCサクセションで、
佇まいは宇宙か別の世界からやってきたエイリアンのようだったし、
音楽は攻撃的で猥雑でいやらしくて、
歌詞はまるで「罪人こそが聖人である」という風な、
真実を暴露しようとする大胆さとユーモアに貫かれ、
その声は完全に世間をナメきりながら、
ひとりでも世界と闘おうとするガッツと率直さが宿っていた。

いつも独りぼっちのようなスネた気分で生きていた私は、
RCを聴く時、宝物を掘り当てた子供のように勇気凛々、自信満々になった。
彼の音楽に出会わなかったら今よりも格段に
卑怯で臆病でずるくて情けない奴になっていたに違いない。
今だってロクなものではないかもしれないが、
幾分かでもマシになれたとしたらそれは彼に負うところが大きい。
彼の音楽が私の魂をクリーニングし清めドライヴさせて解放した。
私はそのことを生涯忘れないだろう。

心から感謝しています。さようなら、ありがとう。忌野清志郎。

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