2009年8月15日土曜日

媚びないラヴ・ソング

今日の仕事中、どういうわけか無性に「電話をするよ」という曲を
(ホントにどういうわけか)聴きたくて仕方なくなった。
「電話をするよ」はUAの1996年のシングル『情熱』のB面曲で、
作詞作曲はホフディランのワタナベイビー。


夜がふけて/窓しめて/お日様が/少し昇ったら
目を閉じて/でもまぶしくて/ちょっとユウウツが/僕のじゃまをしたら
また電話をするよ/キミに電話をするよ/きっと電話をするよ
たのむから僕をなぐさめて・・・


「君に電話するよ、僕をなぐさめて」という、
情けないといえば実に情けないテーマの曲なのだが、
この曲は90年代に作られたラヴ・ソングの傑作の一つだ。

だいたいほとんどの男性アーティストのラヴ・ソングは、
実は情けなく女々しい想いをそれぞれ各人の美意識で辻褄合わせして、
カッコつけたり開き直ったりのナルシスティックなものが多く、
なかなか同性が聴いてグッと来るようなものは少ない。

「電話をするよ」は情けなく女々しい自分の「キミ」への想いに、
かっこつけるでもなく、卑屈になるでもなく、開き直るでもなく、
それこそが君への愛情なのだと、出来る限り率直であろうとしている。
率直であるというのは本当に難しい。
しかし人は切実になるほど、率直にならざるを得ない。


内緒だよ/秘密だよ/少しだけ/僕は狂っているよ
誰よりも/何よりも/総理大臣よりも/キミに頼っているよ
また電話をするよ/キミに電話をするよ/きっと電話をするよ
たのむから僕をなぐさめて・・・


特にこの2番は美しい。
清志郎の「君が僕を知ってる」に匹敵する、嘘くさくなさである。

そしてこの歌詞を歌ったUAのヴォーカルは、
男にも女にも媚びず、メロディーと歌詞を信頼して、
ソウル・シンガーのように曲に入り込んでいる。
まったく素晴らしい。

2009年8月11日火曜日

この夏、良く聴いてるCD<1>

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Guns Don't Kill People... Lazers Do/MAJOR LAZER

これは、すごくいいですね。

今年の夏はどうも天気がパっとしなくてつまんないけど、
太陽が出始めるとこのCDをかけたくなります。
ヤケっぱちに享楽的で乱雑に好き放題で勢いありまくり、
まるで2ndの頃のビースティーみたいな見事なイケイケっぷり。
こういう力強い乱暴なエネルギーを感じさせるのは、
ここんとこあんまりなかったような気がする。
M.I.A.の仕事もいいし、フジにも来てたし(DJだけど)、
今一番旬なプロデューサーだね、Diplo。

ジャケットも相当トバしてますが、
PVもこのキャラが動きまわってて相当トバしてます。
http://www.youtube.com/watch?v=558F1EaxH8c&feature=fvw

それでこのキャラ達のステッカーがCDのおまけで付いてたので、
i-podの背中に貼ってみました。キャハハハ。

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この曲も、最高です。
http://www.youtube.com/watch?v=jQ1vLEbnPzI&feature=related

2009年8月7日金曜日

Song to soul

BS-TBSでやっている『SONG TO SOUL〜永遠の一曲』がおもしろい。

http://w3.bs-tbs.co.jp/songtosoul/onair/

この番組は毎回1曲を題材にしてその曲が出来るまでの過程を、
関係者のインタビューや時代背景の説明を織り交ぜて振り返る
1時間枠のドキュメンタリーで、音楽版「プロジェクトX」的な番組。

取り上げられる楽曲は基本的に親父向けの洋楽で、
各アーティストにとっての代表曲ばかりだから、
30代以上の洋楽ファンであれば絶対知ってる名曲ばかりである。

「スカボロー・フェア/詠唱」サイモン&ガーファンクル
「ザ・ウェイト」ザ・バンド
「スモーク・オン・ザ・ウォーター」ディープ・パープル
「ハートブレイク・ホテル」エルヴィス・プレスリー
「ダンシング・クイーン」ABBA
「ノー・ウーマン・ノー・クライ」ボブ・マーリィ
「ホテル・カリフォルニア」イーグルス
「ホワッツ・ゴーイング・オン」マーヴィン・ゲイ

書いていくとキリがないが、などなど。

「カリフォルニア・シャワー」渡辺貞夫
「結婚しようよ」吉田拓郎
「花~すべての人の心に花を~」喜納昌吉とチャンプルーズ

たま〜にこんな邦楽曲もある。

この番組の何がそんなに面白いかというと、
誰もが知ってる代表曲を取り上げながら、
とにかく洋楽オタクのツボを突いた取材をしていること。
例えばビーチボーイズの「グッドヴァイブレーション」の回では
この曲でベースを弾いたおばちゃんのとこまで行って、
ブライアンの指示でどんなフレーズを弾いたか再演してみたり、
サイモン&ガーファンクル「スカボロー・フェア」の回では、
この曲がイギリスの民謡であり、各地で誰にどう歌い継がれていき、
アメリカ人のポール・サイモンに伝わったのかを追ってみたり、
ザ・バンドの「ザ・ウェイト」の回では現在のレヴォン・ヘルム宅で
行われているセッションの模様を収録していた。
(なんとキーボードでドナルド・フェイゲンが参加していた)

あと番組中に必ず曲をフルでかけながら日本語訳詞のテロップを出すこと。
それぞれのアーティストの活動がいかに時代のムードと密接にリンクし、
その時代を肯定的しろ否定的にしろ、的確に描けたものほど代表曲になり
ヒット曲になっているかということがよく判る作りになっている。

この番組は日本制作なので、
BBCが得意とする文化人類学的なドキュメントとは違って、
欧米から入って来た洋楽という異文化への憧れと愛がベースに
なっているとこが結局いいんだと思う。
昔の洋楽少年がカメラ持って大好きな曲を追っかけたようなノリだもん。
洋楽に愛情のある親父達が作ってんだろうなあ(笑)。
とてもいい番組です。

2009年8月3日月曜日

ビル・タピア 101 years old

先日、大阪の友人・松井くんのバンドSWEET HOLLYWAIIANS
インストア・ライブがあって渋谷タワーレコード5Fへ。

1900年代初頭~1940年代頃のSwing, Jazz, Hawaiian, Ragtime,
Manouche Swing等を最も得意とする弦楽器演奏家・作編曲家集団。
というスウィート・ホリワイアンズ、粋でマニアな音楽をさらりとやっていて、
21世紀の日本の若者とはまったく思えない、
まあこれはこれで見事な唯一無比のバンドです。

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新譜もイカしてます。
Ticklin’ the Strings SWEET HOLLYWAIIANS

そのインストア・ライブにサプライズ・ゲストが登場..........

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真ん中にいる白髪のおじいちゃん、ビル・タピア(Bill Tapia) 101才。
1908年生まれの伝説のウクレレマスター、現役最高齢のミュージシャン、
戦前・戦後を通して売れっ子ジャズギタリストとして忙しい日々を送り、
今までの共演アーティストは Louis Armstrong や Billie Holiday、
Fats Waller といった大御所からElvis Presley まで、、、、、、、、!

実はビル・タピアは初めての(!)ジャパン・ツアー中で、
数日前の大阪公演でホリワイアンズと共演。
今週から東京公演で上京しており、その日オフだったにもかかわらず、
ぜひ演奏したいという本人のたっての希望で飛び入りしたらしい。

だいたい101歳の人を直に見たことありますか?私は初めてでした。
お洒落なチェックのシャツに白いジャケット、
ワインレッドのウクレレを持ってブルーの瞳で演奏するのですが、
歌もウクレレも枯れていながら、おもいっきり味わい深く。
すごくいいものを見せてもらいました。
そして思わず拝んでしまいました。

Bill Tapia Japan Live http://www.flying-colors.jp/bill/

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97歳の時の新譜。
DUKE OF UKE Bill Tapia


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SWEET HOLLYWAIIANS with Bill Tapia 2009.07.31