2008年2月2日土曜日

YU,SAKAI セルフライナーノーツ

このライナーノーツで
アルバムをより楽しんでもらえるコトを心より祈ってます。

1. Yu's groove

新しいグルーヴ・ミュージックです。ドラムのビートは
けっこう普通な感じ。ヒップホップも知ってるドラマーの
アグレッシブなファンクグルーヴ。乗っている時のコウゾ
ウ君は間違いなく日本一ファンキーなドラマー! キーボー
ドリフもオリジナルではありますが、今思うと知らず知ら
ずにプリンスの影響が出ているような気がして。
竹ちゃんギターも相変わらずブルージーでファンキーで
オールドスクールな味付けをしてくれてます。新しいフィー
ルを出している要因は僕の弾いたベースだと思う。曲を引
っ張ってるのもベース、というのはこのトラックのベース
&ドラム、一発録り、すべて生音のまま、僕はエンジニア
ルーム、コウゾウ君は下のスタジオ、お互い見えないブー
スにいてその場でグルーヴのイメージをコウゾウ君に伝え
るつもりで分かりやすくアグレッシブに弾いたテイク。
一拍目の分からない感じのリズムのアプローチも面白い。
そしてたぶんこれファーストテイク。終わる時も僕が「次
で終わろうか」って言って、エンジニアの山本君がコウゾ
ウ君にヘッドホンを通して「え--と、次で終わるそうです」
って (笑
そのテイク、思い出して笑ってしまいます。
ヒップホップはラップの為にビートを安定させなくてはな
らない。それにいい加減飽きて、あと、いわゆるファンク
調にも飽きて、できた曲ですね。黒でも白でもないオレ達
の日本刀のようなグルーヴが生んだ、このアルバムのオー
プニングを飾るにふさわしい『忍者』さえ出てきそうな
スーパージャパニーズグルーヴ。


2. SHIBUYA NIGHT

自分の渋谷のイメージです。アーバンで、それでいて色ん
な若者の人間模様を感じるスクランブル交差点。いわゆる
スタイリッシュな曲です。そこに自分のヒューマンなテイ
ストを入れました。結果、哀愁系ヒップホップソングにな
りました。この曲で何かを伝えたいとかはありません。
一緒に感じる為の歌。カッコイイことは斬新なこと。でも
ポップミュージックとしても聞ける曲にしたいと考えてア
レンジした結果、歌詞は文字数少なめでシンプルに、ベー
スは、いわゆるR&Bベースではなく、オールドっぽい "ファ
ンク", タメが効いてるけどシャープなグルーヴは僕の最も
得意とするサウンド。
コードはアーバンだけどNYっぽくない程度にオシャレ、
ギターはワウ、ビートはコウゾウ君の音をあえて不自然な
くらいハネさせてプロトゥールスで組みました。ジャズっ
ぽいピアノソロとラップをくっ付ける。これにヒップホップに
ありそうなコーラスを入れる。

めっちゃ新しい (^_-)


3. よくばりホリデー

ビートが楽しいスタンダードなポップソングだと思います。
子供も大人もみんな揺れてほしいな。歌詞も好きな感じ。
(歌詞について余談)
僕はいわゆる70年代フォークシンガー特に加川良、岡林
信康を敬愛してます。彼らのようなフォークをメッセージ
ソングと呼ぶなら、このタイプの音楽だって生活の断片を
歌ったメッセージソング。当時のフォークミュージックの
ようなシリアスな趣ではないが今の時代の立派なメッセー
ジソングです。ポップミュージックはメッセージソングです。

コーラスもドゥーワップチックだけどどこか新しいフィー
ルもある。後半の一人多重録音のアカペラはあえて時間を
かけずに30分くらいで思うままに入れました。今、客観的に
聞くと、山下達朗と久保田利伸の中間くらいのサウンドで
黒いのになんかどこかポップな仕上がりになりました。
ビートは、ニューオリンズの伝説のバンド、ミーターズの
ドラムをいじってできました。タメのきいたシンプルなベ
ースラインがポップさの中になんとも言えないファンク感を
出してます。ピアノ・リフはジャジーなヒップホップをイ
メージして作り、スウィンゴの弾くシンセがイイ意味で昔
の白いポップミュージックしてて、どこか懐かしささえ感
じます。おっと、竹内朋康のギターソロを忘れてはいけない。
半端ないペンタトニックファンク!なんかオバダブの前は
「たまにはオレだってメロウにかますぜ」なんて言ってお
きながら------
さぁどうぞ、って
どこがメロウなんじゃい! 笑
彼のギターはファンキーなんじゃなく"ファンク"そのもの。

カッコいい!


4. money crush

この手の曲調は初めて作りました。曲もトラックも簡単に
できたのですが、リリックは背水の陣に追い込まれたレコ
ーディング当日にヤケクソで書きなぐりました (笑
こんなファンキーな曲なのに歌詞はフォークだよね。稼げ
ど稼げど女は金がかかる、状況を嘆く男の叫びを女達よ
聞きたまえ! 金持ちになると歌えない曲だね。
竹内朋康のファンキーなカッティングも最高だし、キー
ボードベースもうねりまくる。実は耳をすますとホーン
セクションがメロウファンクでカッコいい!
途中ブレイクした後のお祭りは深夜変なテンションで録
音したデモテープのままです。
新しきゴスペルフォークミュージック!? 笑


5. ポセイドン

海の神がオレに乗り移ったのだ。
怪しいペダルベースとブルージーなピアノ、宗教的な
ボーカル、うっかりしてると気持ち悪くなる...


6. ポロリ

古いラブソング。
ピアノ・リフとギター・リフがクールですね。ビートは
いわゆるネオソウルっぽい感じになりましたが、そのま
までもつまんないから、ベースはキーボードでファン
キーにうねりまくり、ギターも途中はカッティング、
ブレイク後は竹ちゃん必殺技の逆回転ソロでクライ
マックス。全編通して漂うようなフェンダーローズは
AORさえ感じます。このアダルトなプレイはさかいゆう
バンドのキーボードスウィンゴの影響かな (笑
そしてこの曲、何気にイイ曲。


7. Dreaming

とてもスピリチュアルでパーソナルな曲。
僕が電気グルーヴと仲が良かったら絶対にトラックを
頼んでました。(先日、ピエール瀧さんとパフィのユミ
さんの番組に出させていただくにあたって電気グルー
ヴを聞き込みましたが、半端なくカッコいい。オシャレ
なハウスミュージックもディスコもそんなに好きじゃな
かった僕ですが、四つ打ちの概念が変わりました。)
ポップミュージックには、『四つ打ちのマジック』と
言う卑怯なものがあり、ファンクをこよなく愛する僕は
「安易な四つ打ち」は嫌います。しかし、四つ打ちな
だけでサウンドに色付けしやすい。その上、誰でも乗り
やすいし、クラブでかけりゃ安全パイ。
ちょうどジャズピアノで言う『4度系ハーモニー』のご
とく、誰でも簡単にあのフィールが出せます。

と考えていた僕。

そんなこんな踏まえた上で四つ打ちは難しい。
自分がやるんだからなんか面白くしたい、そう思い
アレンジをしていきました。結果、四つ打ちなのに
ピアノ中心、途中でファンク、歌詞をオシャレにし
ない、メッセージソングにする、である。

曲は現実と夢の間でゆれる世界。
夢の中で久しぶりに会う死んだ親友はいつだって
美しいあの頃のままさ。
そりゃあ、あの頃よりはウソつくようになったか
もしれないな。
でも、ウソまみれの音楽かもしれないけどいくら
でも吠えてやる!

「おれはここで生きてるんだぜ! そこから僕が見えますか?」


8. 無言の月

大作です。
JPOPとしてはNGの超長尺曲。
でもね、僕にしかできないコトをできたと思います。この
曲は自分も含めた挑戦する人を応援する歌にしたかったん
です。この曲じたいが色んな意味で挑戦なんですが。
Mr.Childrenやコブクロを最高峰とする、あの "非の打ち
所のないJ-POPサウンド" の流れをくまない和製ポップス
は作れないものか?と、日々考えています。
そんなこんなもふまえ、ポップミュージックの可能性の
限界にチャレンジする気持ちでプロデュースにのぞみました。
この曲における、さかいゆうバンドの、心のこもったあ
まりにも素晴らしい演奏、聞く度に感動します。
歌の無い所でさえバンドの張りつめた糸のような集中力
が伝わってきます。
エンジニア伊藤の鬼気迫るミックス技術も聞き所。
実は、この曲と次曲の井の頭公園辺りがアルバムのハイ
ライトなんではないでしょうか。


9. 井の頭公園

この曲ができた瞬間を覚えてます。
確か一昨年の冬の月見ル君想フのライブ前に待ち時間暇
だからって一人で渋谷に散歩している途中できたんだと
思います。メロディも歌詞もコードもボンヤリなんだけど、
あの噴水みたいなイントロのピアノリフはずっと頭で
こだましていた。で、忘れないためにってアンコールの
オマケでワンコーラスだけ歌ったんだ。したら、思った
よりウケがよくそのままその日中に曲が完成したんだ。

ウクレレを弾いてくれたnuccaは吉祥寺近辺に住むシンガ
ーソングライター。彼とはよく何をするわけでもなく
井の頭公園に遊びに行くんだ。そん時は決まって oh india
でインドカレーを食べる。この曲の主人公、もしや、オレ
とヌッカか!?
ギターは高田漣。彼とはレコーディングで初対面だった。
僕は自分がいかに漣さんが好きなのかを頑張って伝えて
たら、「過大評価ですよ、期待にそえないかも」って
言いながらスタジオに入った。
そして軽くサウンドチェック、
最初の一音で素晴らしい結果は目に見えていた。
コウゾウ君の歌を支えるシンプルでヒューマンなビートも
感動をさそう。


10. オレアの夢

難民の子供目線で書かれた『ほんのすこしの勇気から』と
いう絵本があります。その本を読んで感動してその絵本の
タメに書き下ろした曲。
なぜかこの曲、国連で、しかもアカペラで歌いました。
好評につきアルバムに入れるコトにしました。
オルゴールのようなイントロのフェイドインもドラマチックです。
前作"ZAMANNA"にも通じる、歌とピアノの弾き語りフォークソング。


11. Big Bung

最後を飾るこの曲、
名付けて "ゴスペルパンク !!"

オレの暑苦しいまでの愛とソウルが炸裂したメッセージ
ソング。

ビートに対してギリギリでグルーヴする巨大コーラス隊。
これ全部さかいゆうです (笑
ウザすぎる (笑
本当は大勢でやりたかったけど、変なグルーヴで注文多
くなって迷惑かけると思い、一人でやりました。
ビートもウワモノも全部自分で組んで、斬新でカッコいい
仕上がりだったんだけど、キレイすぎるのは苦手で、
やっぱヒューマンな曲にしたかったから
ギターソロも生ドラムも足してしまいました。オルガンも
自分で弾き倒してたんだけど、他人のタッチが欲しくなり、
ポチ (彼は今のスガシカオバンドのキーボード) に頼んだ。
結果、メッセージをシャウトしまくる
"ゴスペルパンク"になってしまった。
オープニングからエンディングまで気が抜けない。